広島県農業再興フォーラム(第27回JA広島県大会)

元気な農業者たちの活動報告

広島県の農業が変わる、若い力が変える

羽佐竹農場 代表 松川 秀巳 氏

株式会社羽佐竹農場の取り組みについて

羽佐竹農場 代表 松川 秀巳 氏

私たちは儲かる農業を実践するために、様々なことに取り組んでいます。酒造好適米の生産もその一つです。安芸高田市高宮町は県内の酒米の約4割を生産していますが、部会で自主的な厳しいルールを決め、高品質な酒米を生産することにより、JAとの契約出荷、有利販売を実現し、計画的な生産と経営が可能となっています。
また、大規模営農モデル実証試験として、鉄コーティング水稲直播による春作業の省力・軽量化栽培に取り組み、今年度は約15 %の経費の削減に成功しました。しかし、米の価格の下落や資材の高騰で、米づくりはなかなか利益が出にくいという問題点もあります。そこで、一年中通して収穫のできる白ネギ栽培にも力を入れ、水田の地下水位をコントロールするシステム「FOEAS」を試験的に導入することで、干ばつや湿害のリスクを回避し、収量や品質、作業性の向上を図っています。
これからは若い担い手に意欲を持って農業に取り組んでもらうためにも、受け入れる環境を整えていくことが大切だと考えています。

藤本農園 代表 藤本 聡 氏

一粒万笑(いちりゅうばんしょう)

藤本農園 代表 藤本 聡 氏

私は、庄原市東城町で父から受け継いだ水田でお米を作っています。父が始めたアイガモ農法での無農薬の米づくりに魅力を感じ取り組んできましたが、4年前に何と、大阪で開催されたお米の全国大会で日本一に輝いたのです。「これで米が売れる」と私は安心しましたが、現実はそう甘くはありませんでした。天候不順による品質の低下で逆に米余りになってしまう始末です。それに加えて私自身の作業中の大けが、これが私の転機となりました。妻や社員、地域の人たちに助けられながら、自分の経営を一から考えてみることにしました。自分達の強み、弱みをしっかりと把握し、強みを伸ばしていくために誰に何を売るのかということを徹底的に研究しました。
新しいことにも積極的にチャレンジしています。ドローンを使ったアイガモの管理・監視もその一つです。
当社のテーマは「一粒万笑」。一粒の米でみんなが笑顔になれるよう、お米の価値や農業の楽しさをしっかりと情報発信していきます。それが農業再興へもつながるのではないかと考えています。

たから島ファーム 立花 隼人 氏

TOMATO DE REVOLUTION

たから島ファーム 立花 隼人 氏

今、トマトづくりで一番力を入れているのが栽培技術と人材育成です。簡単に言えば技術の共有ですが、大切なのは同じ物差しを持つということです。例えばトマトづくりが上手な人でも他に伝える時はどうしても感覚的になってしまう。それを正確に伝えるには技術を数値化することです。過去のデータや栽培履歴、トマトの細かい生育状況など、数値化し共有することで、安定した高品質なトマトをシーズンを通して出荷できるようになります。
また、これまでの家族経営では、父から子に技術を継承する場合、20年~30年もかかってしまい、どんどん進歩するトマト栽培についていけません。少なくとも5年~10年で新しい人材を育てる必要があります。人を入れ、人を育て、余った労力はトマトづくりのスキルアップに費やし、また収益を伸ばしていくことが大切です。
「トマトでレボリューション」。これは、短期・中期・長期の経営目標であり、私を元気にする合言葉でもあります。この言葉を胸に、食べた人みんなが笑顔になる、そんなトマトづくりに励んでいます。

女性農業者 卯元 幸江 氏

農業継承 ~女性らしく私らしく~

女性農業者 卯元 幸江 氏

進学、就職、結婚と、しばらく農業から離れていた私ですが、娘に自分が育てた野菜を食べて元気に育ってもらいたいという思いが強くなり、再び農業を始めて6年になります。今は、主にJA尾道市の産直市「ええじゃん尾道」などに出荷する野菜の栽培に携わっています。
旬の野菜は産直市にも数多く並びます。その中でわが家の野菜を買ってもらうにはどうしたらいいか。母と話し合ううちに気付いたのが、消費者の目線に立って野菜を販売するということでした。適量で彩り良く、レシピなどを添えてみると若いお母様方にも大好評でした。そのうちお客様のために、野菜のことをもっと勉強したいという思いが強くなり、野菜ソムリエの資格を取得しました。その他にも、野菜の移動販売を始めたり、特産のいちじくをジャムやドライフルーツにして販売したりと様々なことにチャレンジしています。
私は、女性として母親として、食との関わりの深い農業者として、これまでの活動を継続していくことが大切だと考えています。私の活動を通じて、次世代を担う方々が一歩前進するきっかけになればと思います。

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