広島県内農業ニュース

JAが中心となって集落ぐるみでの鳥獣被害対策を呼び掛ける

2015.09.08
県内農業

 JA広島中央は管内の鳥獣被害を減らそうと、組合員や地域住民に集落ぐるみで対策に取り組むよう呼び掛け、そのサポートを始めた。JAは地域に根差した組織として、鳥獣被害から農産物と農地、集落を守っていく考えだ。

 JA管内には中山間地が多く、イノシシやシカなどの鳥獣被害は年々深刻化している。東広島市の鳥獣による被害額は2013年度約4千万円で県内5位。JAや市などの助成を受けて柵を設置する農家は多いものの、個別の対策では限界がある。

 JAや県・市の関係機関、南部農業共済組合は東広島市鳥獣被害対策推進会議を立ち上げ、対策を練ってきた。JAは各事業所の職員に鳥獣被害対策アドバイザーの資格を取得させ、技術と知識を習得させてきた。今後、集落の住民が一体となって環境改善や侵入防止などの対策に取り組み、守れる農地・集落づくりをすすめる。

 まずは、組合員や地域住民に鳥獣被害対策には集落で取り組むことを周知しようと8月31日、東広島市八本松町の県立総合技術研究所農業技術センターで「鳥獣被害から集落をみんなで守る勉強会」を開いた。管内の農家や集落法人、集落の代表者など約130人が参加し、対策と防止柵設置の基礎知識を確認した。全国で活躍する鳥獣被害対策の専門家の井上雅央さんが講演した。井上さんは、住民が知らず知らずのうちに潜み場や餌付けを作り出している実態を踏まえ、みんなで守れる集落を作っていくことの重要性や稲刈り後の防止柵の必要性を訴えた。

 JAは今後、集落単位での勉強会を開き、鳥獣被害対策アドバイザーを持つ11人の職員の指導で集落の実態に応じた学習や点検をしながら環境改善をすすめていく。JA指導販売課の藤井優一課長は「JAが集落の人たちと一緒に考え、改善をすすめていくことで効果的に被害を防止していきたい」と意欲を示した。

トメ