広島県内農業ニュース

農家だけではなく、地域全体で美しい農地を守る

2015.10.20
県内農業

 広島中央・ええのう末釜東広島市西条町下三永末釜地区の農事組合法人「ええのう末釜」は、非農家や農地提供農家も含め、集落の全戸が組合員という異例の法人。現在は法人に農地を提供せずに家内で農業をしている農家も、いつでも法人に農地を提供できるような体制を整えている。農家の高齢化や後継者不足、耕作放棄地を防ぐため、2013年10月に法人を設立。

 末釜地区では、集落全体で農作業や祭りなど助け合ってきた伝統がある。法人化に関しても農家だけでの問題ではなく、集落全体で協力して守っていく考えのもとで、非農家も含め全戸を組合員にした。農地を提供する農家は、農地に応じて出資し、非農家と農地を提供しない農家は、1戸当たり1万円を出資。現在、組合員21戸、集積面積11.2㌶で稲作を中心に栽培する。

 14年度の米価下落の対策として、15年度は、組合員に支払う作業代や労賃を3割下げることで全員が納得した。集落全体で助け合う組織ならではの対策だ。法人化することで集落の景観を守るために荒れた農地を無くした。耕作放棄地にはコスモスを植え、休耕田は畑として活用している。JA広島中央の営農指導員が推奨する白ネギやカボチャ、葉ボタンなどを栽培する。畦畔の草刈り作業を軽減させるために、16年には法面の9割をシバザクラで彩る計画だ。

 次世代の担い手育成にも力を入れており、組合員の家族で30~50代を中心に青年部を結成し、農業への関心を深めてもらおうと、年間1、2回の勉強会を開いている。今後は、畑の一部を市民農園にして近くの住宅街に住む人にも貸し出し、交流を深めていく。

 槇原峰生代表理事(72)は「法人を設立して集落の絆がより一層強まり、連帯感が生まれた。集落全体で助け合い、美しい農地が継続できる農業を目指す」と述べた。

(広島中央)

トメ