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休耕地再生し菊栽培  40品種年間5万5000本 庄原市高町 伊藤薫さん

2019.09.24
県内農業

 庄原市高町の伊藤薫さん(64)は、休耕地を利用した小菊の栽培に力を注いでいる。ハウス3㌃、露地46㌃で、「ながえ」や「やくも」など約40品種を栽培。需要の多い盆と彼岸を中心に年間5万5000本の出荷に向け、管理に余念がない。

 中学校の体育教諭を34年勤め「体力が落ち、子ども達に勝てなくなったら退職しよう」と考えていた伊藤さん。第二の人生として農業を考えるなか、地域に耕作放棄地が増えたことから就農を決め、57歳で広島県立農業技術大学校に入学した。

 園芸課程の同級生の勧めや、実習先の「西城町花卉(かき)生産組合」の組合員との出会いから菊栽培を決意。学校関係者や組合員の支援を受け、ハウスの組み立てや株養成などの準備を進めた。2015年に休耕地を再生し、ハウス1.5㌃、露地19㌃で栽培を始め、同組合にも加入した。

 休耕地だったほ場は、水利や水管理が難しく、栽培の厳しさを痛感。しかし、組合員やJAから、畝の高低による栽培管理や品種特徴などを学び知識を深めた。得た情報や作業内容は書き留め、栽培に活かした。ほ場の適正や出荷期の分散を考慮し、新しい品種の試作も積極的に試みる。

 ほ場では、菊を注意深く観察し小さな変化を見落とさないよう心掛け、仕立てや適期防除を徹底。早朝の収穫から選花まで、高品質な生産を心掛ける。

 伊藤さんは「伝統ある組合の一員として、栽培することに大きな責任を感じている。品質を高め、出荷を安定させることで組合のブランドを守りたい」と力を込める。

(庄原)