広島県内農業ニュース

【JA庄原】和牛甲子園県内から2校が初出場

2020.01.15
県内農業

東京都内で16日、17日に開かれる「第3回和牛甲子園」に県立西条農業高校と県立庄原実業高校が初出場する。県内の高校が出場するのは初めてで、両校の ”高校牛児”の活躍に大きな注目が集まる。

和牛甲子園はJA全農が主催し、和牛肥育の高校チャンピオンを決める全国大会。和牛を飼育する、全国17県30校の農業高校などが45頭を出品。体験発表と枝肉共励会の2部門で競い、最優秀校を総合評価で決める。

県立庄原実業高校は、農業クラブの和牛研究部3年生の長岡蓮さんと2年生の田邊真歩さん、和田凜子さんが出場する。同校は、2017年の第11回全国和牛能力共進会の第7区(総合評価群・種牛の部)に出場。生徒は、和牛甲子園出場を次の目標に決め、日頃の飼養管理や研究に汗を流してきた。

出品する去勢牛「八谷6の2」(父=3柴沖茂、母の父=美津照重)は同市内で産まれ、ブランド牛「比婆牛」の素牛要件も満たす。生徒は、18年4月から約20カ月、比較牛と一緒に愛情を込め育てた。

飼料給与は1日2回で、粗飼料と配合飼料の残飼量やTDN(可消化養分総量)摂取量を調べた。2カ月に1度の血液検査には、県北部畜産事務所などが協力。肥育牛の飼育で重要なビタミンについて計測し、ビタミンAを把握して給与した。

肉質調査は、超音波画像診断装置を活用した。枝肉格付部位を撮影し、ロース芯面積や脂肪交雑などを確認。肥育中期に、猛暑の影響などで餌の食べ残しが多く心配したが、昨年11月の診断ではA5ランクも期待できるという。

大会では、「これからの広島和牛生産を切り拓く」をテーマに研究成果と和牛肥育にかける思いを訴える。リーダーの長岡さんは「和牛甲子園は3年間の集大成。広島牛・比婆牛を全国の人に知ってもらい、支えてくれた方に恩返しをしたい」と力を込める。

(庄原)

県立西条農業高校は、生徒が育てた「浦太郎」を出品する。子牛の時から世話する畜産科肉牛専攻班の3年生3人が出場し、日頃の飼育や取り組みを発表する。

同校は、「広島牛」の再構築に向け、広島牛の種雄牛造成に取り組んでいる。2018年4月から、同校の繁殖牛に県外種雄牛と広島血統種雄牛を1年ごとに交配して肥育素牛を生産。生後、採食率や増えた体重の変化、出荷した産肉の成績などを広島牛と県外牛産子とで比較して繁殖牛を改良する。種雄牛候補の牛を産む母牛も育て、良質な種雄牛の造成を目指す。

飼料には、食品残さの麦茶かすを校内で発酵させたものを混ぜる。環境に配慮した農業の実践で、持続可能な開発目標(SDGs)にも貢献する。

「浦太郎」の母牛は、種雄牛候補の分娩を控えている同校唯一の繁殖牛の姉妹。今大会で産肉成績が良ければ、「浦太郎」の母牛も種雄牛候補の牛を産むことが期待できる。

生徒は、1日2回の餌やりや飼養管理、観察、ブラッシングなど、当番制で毎日、世話を続け、採食量や体重のグラフ化で良質な牛づくりにつなげている。

出場する高光宗星さん(18)は「学校の取り組みを全国にアピールし、広島牛の知名度向上にもつなげたい」と意欲を見せる。

指導する山下眞由教諭は「大会出場で、自分たちが社会で通用するかを実践で経験してもらいたい」と期待する。

(広島中央)