広島県内農業ニュース
【広島市】作柄チェンジで農業継続 農地維持 惜しまれつつもイチゴからブドウへチャレンジ
2025.07.01
県内農業
1983年から42年間、『観音いちご』の名称でイチゴを栽培・出荷し続けてきた広島市佐伯区の杉田晶子さん(74)。今シーズンで区切りをつけ、ブドウ栽培にチャレンジすることを決めた。自身の年齢や体力面を考えながら、栽培品目を見直すことで持続的な農業を実践する試みだ。
ピーク時で年間6000パック(1パック300㌘)を市場やJA広島市直営産直市「農彩館 五日市ファーマーズマーケット」へ出荷してきた杉田さん。土耕栽培でのイチゴ作りは、体をかがめての作業が多く腰や足に負担がかかる。年齢を重ね、体力の限界を感じるようになり、長年、続けてきたイチゴ栽培を終えることにした。
出荷最終日となった6月16日、杉田さんは同産直市の売り場にイチゴ22パックを出荷。出荷したイチゴはいつも通りあっという間に完売した。いつもと違うのは来店客へイチゴ栽培の終了とともに感謝の言葉がつづられた「ごあいさつ」と題したボード。『観音いちご』の販売も終わり、杉田さんがファンの方に向けて置いた。杉田さんは「お客さんにおいしいと喜んでもらえることが励みになり続けてこられた」と振り返った。
農地を維持し農業を続けたいとの思いから、イチゴ栽培からブドウ栽培へと新たな一歩を踏み出した杉田さん。同JA営農振興課の栗田裕弘統括営農技術員から五日市地区でもブドウの栽培ができることを聞き、ピンときた。杉田さんは、ハウスで2本のシャインマスカットを育てており、「初めて栽培するブドウだが、ワクワクしている。JAの営農指導員にサポートしてもらいながら、多くの方に喜んでもらえるものを作りたい」と、3年後の出荷を目指している。