広島県内農業ニュース

【福山市】農業で日本とインドネシアつなぐ 農業で国際交流 JICA活用

2025.09.09
県内農業

 広島県福山市箕島町にある一般社団法人「わかいふぁーむ」は、全国的に珍しいとされるアジア野菜の栽培などを通じ、農業をきっかけに日本とインドネシアとの国際交流を生み出す。国内では手に入りにくいクウシンサイやキャッサバなどインドネシア人にニーズの高い10~15種類に絞って栽培し、農園に併設した直売所やインスタグラムで注文を受け付ける。毎週金曜日にインドネシア語で生育状況や販売情報を発信し、東南アジア出身の在日外国人を中心に人気を集める。
 インドネシア出身のカーエル・ファーミさんは、2021年から若井克司さんが代表を務める若井農園で特定技能外国人として働き始めた。母国で食べていた農産物が日本では手に入りにくいことから、若井さんとともに2022年からアジア野菜の栽培に取り組んでいる。収穫した野菜は、農園入り口の直売所や交流サイト(SNS)を通じて販売。1週間で約20件、多い月には100件近くの注文が寄せられ、昨年は約9㌧を出荷した。栽培品目は直売所やDMを参考に、30品目から要望の多い15品目に選ぶ。
 ファーミさんは今年、福山市の新規就農者制度を利用して妻の先家茉子さんとともに「ふぁみファーム」を立ち上げた。アジア野菜の栽培や販売を担い、独立後も若井農園と連携しながら国際交流に取り組む。
 その中で、二つの農園が共同で活動する一般社団法人「わかいふぁーむ」は、国際協力機構(JICA)の支援を活用し、インドネシアで環境問題となっている牛ふん投棄の改善に向け、堆肥としての活用など環境面での技術交流に力を入れる。現在は化学肥料を使っているが、牛ふん堆肥の活用によって現地の衛生環境の向上や環境保護、農家の経済負担軽減が期待される。
 国際協力機構(JICA)の取り組みの一環で、今年2月にインドネシアを訪問。現地の農家20人を集め、牛ふん堆肥の有効性や土づくりの重要性について講習会を開いた。日本とインドネシアの農業交流の一歩として、持続可能な農業の推進に向けた交流が始まった。ファーミさんは「インドネシアも日本も農業に携わる人が減っている。交流を通じて農業人口を増やす活動に励みたい」と話した。若井さんは「JICAの活動を一度で終わらせることなく農業を通じた交流を継続していきたい」と力を込めた。